梟の子は梟
彼の父は生涯に渡って彼を嫌悪していた
彼がとても人とは思えぬ風貌と図体をしていたからだ(彼の父は涼やかな美貌であった。嫁いだ娘もそう)
風説によれば彼は実の父の息子ではなく上司の息子であるという
少なくとも父はその事を信じていた節があり、その図体を含めて軽んじていた(実際周囲からは、独活の大木に見えていた)
長良川に対峙した時、彼の父は始めて『あれは自分の息子だ』と感じたようだ(そして、義理の息子に対する評『あれがわしらの息子の上につくだろう』を後悔した)
それほど、巧妙に父を追い落とした
父を倒したのち彼は自分の署名に古の中国の父殺しの故事から『范可』と言う物を使っていた
彼自身にも彼の父か実父か実父の敵か了解できなかったのだろう
1561年(永禄4年)6月、斎藤義龍病没
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