暇人の日記保管庫

文字通りのアレです

アフリカという国で(検証Blog関係を読んでる人には)お馴染みのあの本

2ちゃんねる有志が読んだよ

767:02/23(水) 11:41 6s6ZqqSI [sage]
コンゴ・ジャーニー』を読み終えたので、
http://book.asahi.com/review/TKY200806170134.html
コンゴ・ジャーニー [著]レドモンド・オハンロン[掲載]2008年6月15日 * [評者]唐沢俊一(作家)
について。
【アフリカという国】の出典としておなじみの書評だがそもそもこの本がアフリカ全体について書かれた物なのか、
> 現代アフリカの混沌(こんとん)を描くために著者が選択した文体と構成は、読みにくいことこのうえない。
(中略)
>抑制のきいた描写がいい文章の条件、と教えられてきた日本人にはやや辟易(へきえき)する語り口(翻訳もそ
>の原文の混乱をよく伝えた実に読みにくい名訳だ)だが、読み進んでいくうちに、その迷彩的文体こそが、アフ
>リカという国をまるごとそのままに描く、最適の文体なのだということに気づかされる。
というほど読みにくいのか、その読みにくい本を唐沢が最後まで読み通す事ができたのか、
等の疑問もあって読んでみたが、結論としてさほど読み縫いとは思わなかった。
著者と呪い師との会話のシーンでは話が噛み合ず、混乱した印象もあるがそれはほんの一部。
又旅した範囲もコンゴ民共和国(現コンゴ共和国)一国のみ。

(続く)

768:02/23(水) 12:01 6s6ZqqSI [sage]
唐沢が言及している本書の内容について重箱の隅をつついてみよう。

> 村をまじないで支配する魔法使い。
→上p.264~ 厳密には呪い師。本書では占い師と呪い師を明確に訳し分けており、"魔法使い"、"魔術師"という語は使われていない。
何故”呪い師”と書かなかったのか?

>行く手をはばむ肉食アリの群れ。
上P.289~ 宿所がサスライアリに侵入される。肉食性だが行く手は阻まれない。
>夜中に著者の幻想の中に現れる3本指の精霊・サマレ……
上P.273~ 下p.19で現れた男は確かにサマレを彷彿させるが、呪い師から説明された容姿とは異なる。
解釈は人それぞれだろう。又下p.52には白日夢の中に現れてもいる。


>親類を殺した魔術師との戦いの話
これだけでは誰の親類か、誰と誰が戦ったのかわからない。
上p.331-333では話は薮の中だが、上p.377では殺されたヤギ飼い(呪い師との噂あり)の甥が村長に命令されて
殺人首謀者の元郵便配達人に復讐せざるをえなくなったことが明らかにされる。
復讐は下p.35-42辺りで呪術的な方法で実行されるが、呪い師は関わらない。


>そもそも著者のコンゴ行きの目的が、コンゴ川上流の湖に棲(す)むという幻の恐竜モケレ・ムベンベの探索という
上p.13他 これはおk。

> もちろん、現代人である著者の理性は、それら魔術や精霊といったものへの傾倒は悲惨な現実から目をそむけるた
>めの逃避手段なのだ、といった論理的な説明を試みている。
これは同行者ラリーやマルセランの役割の様な気がする。他の人の意見を伺いたい。

>旅を共にするアメリカ人の大学教授・ラリーのひねくれた皮肉が加わって、
ラリーは下p.80でインプフォンドを去り、そのまま帰国。


769:02/23(水) 12:27 6s6ZqqSI [sage]
個人的な感想、疑問
1. 唐沢は何故”魔術師”、”魔法使い”といった書き方をしたのか?
もしかしたら英文のレビューを翻訳サイトで翻訳したのではないかと邪推してしまう。

2. 本当に最後まで読んだのか?
書評で書かれている物はほとんど上巻に示されていて、
下巻に登場するゴリラの赤ちゃん(下p.260~)との交流等には触れていない。
"読みにくいことこのうえない。"等に筆を割くより多様なエピソードを紹介した方が、
読者の興味を引く事が出来るのではないか。
もちろん紹介する内容取捨選択は書評家の自由だし、書評の目的という物もあるかもしれないが、
ちょっと偏りすぎではないだろうか。

3.完全に個人的な印象だが作者が”現代アフリカの混沌(こんとん)を”描こうとしたのなら、
それは登場人物の一人、アルセラン・マニャーニャ博士の描写において最も成功していると思う。
彼の抱く葛藤、怒り、矛盾が様々な箇所に現れていて、
読み進むにつれマニャーニャ博士に注目せざるを得なくなって行った。
特にラリーが去った後はマニャーニャ博士が主な会話の相手であり、彼に言及していない事で上記2が補強されてしまう。

以上重箱とか邪推とか色々あるけど一点だけ唐沢を擁護すると、
本書では”コンゴ”という言葉よりも”アフリカ”という言葉の方が多く使われており、それにつられて筆が滑ったのかな、と。
それでも”アフリカという国”はないけどね。